ホワイトペーパーの効果測定方法

  • | 公開 2025年07月10日
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーの効果測定方法

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ホワイトペーパーを制作してマーケティングに使うのなら、必要なデータは揃えていきましょう。

「せっかく作ったホワイトペーパーなのに、本当に効果が出ているのかわからない…」
「ダウンロードはされているみたいだけど、その後の成果に繋がっているのか不安…」

そう感じてしまうのは、ホワイトペーパーの効果測定が十分にできていないサインかもしれません。

ホワイトペーパーは、お客様となってくれそうな見込み顧客(リード)と出会い、関係性を深めるための強力なツールです。

しかし、ただ作って公開するだけでは、その真価を発揮できず、重要なのは、「数字」を通じてホワイトペーパーがどれだけ目標に貢献しているかを把握し、改善を繰り返していくこと。

この記事では、専門知識がなくても、ホワイトペーパーで成果を出すために「何を」「どう測るべきか」を、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。

なぜホワイトペーパーは効果測定が必要なの?

私たちは何か重要な行動を起こすとき、漠然と「良さそうだから」とあいまいな理由だけで決めることは少ないですよね。

例えば、旅行に行くにしても「どこへ行くか」「予算はいくらか」「何日間か」など具体的な目標を立てて、それに合わせて計画を立てることが多いはず。

ホワイトペーパーも同じで、闇雲に数を増やしたり、内容を更新したりしても、それが本当に「良い成果」に繋がっているのかはわかりません。

効果測定をしないと、目的地(目標)へたどり着くために、今どこにいるのか、どの方向へ進むべきなのかがわからず、時間や労力だけを無駄にしてしまう可能性もあります。

効果測定のメリット

効果測定を行うことで、以下のようなメリットが得られます。

どこが強みでどこが弱みかが見える:ダウンロード数は多いのに商談に繋がらない、特定のページの離脱率が高い、など、具体的な問題点や成功要因が見えてきます。

改善の方向性がわかる:漠然とした「もっと良くしたい」から、「この数字を改善するために、この部分を見直そう」といった具体的なアクションに繋がります。

投資対効果がわかる:ホワイトペーパー作成やプロモーションにかけた費用に対して、どれだけの成果が得られたのかを把握できます。

つまり、効果測定はホワイトペーパーを「なんとなく良いもの」で終わらせず、成果を出すための強力な武器に変えるために不可欠なのです。

効果測定のデメリット効果測定は、各種のデータが集められる体制・環境にする必要もあり、計測ツールはもちろんですが、何のデータが必要なのか、しっかり根拠を持って集めないと、実際には使えないデータばかりになってしまうため、気を付ける必要があります。

成果を出すための基本は過去・現状・未来で考えること

ホワイトペーパーの効果測定で、成果を出す基本的な考え方は、とてもシンプルです。

それは、「過去」「現状」「未来」の3つの視点で考えること。

過去:これまでに作ったホワイトペーパーのデータ
・何テーマでどんな内容のホワイトペーパーを作ったのか?
・以前のホワイトペーパーはどのような結果だったのか?
・過去の成功例や失敗例から学べることはないか?

現状:今、あなたのホワイトペーパーがどうなっているか
・今現在のホワイトペーパーのダウンロード数は?
・ダウンロードしてくれた人はどんな人たちか?(リード属性)
・ダウンロードから商談に繋がった割合は?
・ウェブサイトでの表示回数やページにアクセスした人の行動はどうなっているか?

未来:ホワイトペーパーを通じて実現したい目標
・ホワイトペーパーを通じてどれくらいのダウンロード数を達成したい?
・どんな属性の人にダウンロードしてもらいたい?
・最終的にいくつの商談や契約に繋げたい?(具体的な目標数値)

この3つの視点を行き来することで、現状が目標に対してどのくらい近づいているのか、そして目標とのギャップを埋めるために、何をどう改善すべきかが見えてきます。

例えば、

「過去のデータを見ると、ホワイトペーパーAは伸び悩んだがBは好調だった。」
「現状、ダウンロード数は目標に達しているが、商談に繋がる割合が低い。」
「目標は、ダウンロード数を増やしつつ、そこからの契約数を2倍にすること。」

このように考えることで、ダウンロード数は問題ないが、その後の商談への繋がりが悪いなら、ホワイトペーパーの内容やダウンロード後のフォローの仕方に問題があるのではないかと、具体的な課題が見えてきます。

ホワイトペーパーの効果測定で見るべきデータ項目

ホワイトペーパーの成果を判断するため、具体的にどのようなデータを収集して見ていくべきなのか。

効果を測る上で特に重要となるデータ項目を、それぞれ詳しく解説していきますが、これらのデータは主にウェブサイトのアクセス解析ツール(Google Analyticsなど)、マーケティングオートメーション(MA)ツール、営業支援(SFA)ツールなどを使って収集することができます。

補足:すべてのデータを取りに行くのは大変ですし、使わないデータは集めても意味がないため、まずは「何を知りたいのか」「何を改善したいのか」を明確にして、それに必要なデータから収集を始めることがおすすめです。

1. ウェブサイト関連のデータ

ホワイトペーパーの掲載ページや関連ページへのユーザー行動を把握するために重要なデータとなります。

アクセス数(またはセッション数)

ホワイトペーパーが掲載されているページに、どれくらいの人が何度訪れたかを示す数字です。アクセス数がない場合は、ホワイトペーパーを見つけてもらえていないと言えるため、対策(ウェブサイト内での導線改善や、SNSでの告知など)が必要です。

離脱率(りだつりつ)

ホワイトペーパーの掲載ページに訪れた人が、他のページに移動することなく、そのページからウェブサイトを離れてしまった割合です。この数字が高い場合、ページの構成や内容がユーザーの求めているものと合っていない、もしくは情報が不足している可能性があります。

直帰率(ちょっきちつ)

ウェブサイトに訪れた人が、最初に見たホワイトペーパーのページだけで、すぐにウェブサイトを離れてしまった割合です。直帰率が高い場合、ユーザーの期待とコンテンツがミスマッチしている可能性や、次の行動を促すための導線が不明確である可能性があります。

滞在時間(たいざいじかん)

ホワイトペーパーの掲載ページに、ユーザーがどれくらいの時間留まっていたかを示すものです。滞在時間が短い場合、ユーザーが興味を持たなかったり、求めている情報がすぐに見つからなかったりする可能性があります。ただし、最初からダウンロード目的で訪れた人は、滞在時間が少なかったりするので、短さだけで判断はできません。

経路(けいろ)

ユーザーがどのようなウェブサイトやページからホワイトペーパーの掲載ページにたどり着き、ダウンロードに至ったかを示すものです。例えば、「ブログ記事からアクセスしてダウンロードした人が多い」ことがわかれば、そのブログ記事のテーマとホワイトペーパーの関連性が高いと判断できます。

キーワード

ユーザーがどのような検索キーワードを使ってウェブサイトに訪れ、ホワイトペーパーをダウンロードしたかを示すものです。「このキーワードで検索してきた人は、特に商談に繋がりやすい」などの傾向が見つかれば、そのキーワードに関連する内容を強化したり、広告出稿の参考にしたりできます。

2. リード獲得・育成関連のデータ

ホワイトペーパー最大の目的の一つである「リード獲得」とその後の「ナーチャリング」に関する重要な指標です。

ダウンロード数

ホワイトペーパーが実際にどれくらいの数ダウンロードされたかを示す数字です。「フォームを入力して送信してくれた人数」と考えればわかりやすく、ホワイトペーパーの直接的な成果を示す最も基本的な指標となります。

リード属性(りーどぞくせい)

ダウンロードしてくれた人が、どんな会社に勤めているか、どんな役職か、どの業界か、などリードに関係する詳しいデータです。例えば、「大企業の役職付きの人が多くダウンロードしている」ことがわかれば、その層に響くホワイトペーパーだと判断できますし、ターゲット層に合ったリードが獲得できているかを確認する上で非常に重要です。

資料属性(しりょうぞくせい)

どのテーマのホワイトペーパーが、どのくらいダウンロードされているかを示すデータです。人気のあるテーマや、あまりダウンロードされないテーマを把握することで、今後のホワイトペーパー作成の参考にできます。テーマによって、その後のアクションを変えたり、商談・契約へつながる割合も変わってきたりするので、重要なデータ。

リピート率(りぴーとりつ)

一度ダウンロードしてくれた人が、別のホワイトペーパーもダウンロードしてくれるなど、2度目以降も関心を持ってくれた割合です。リピート率が高い場合、お客様から提供情報に価値を感じてもらえている証拠であり、関係性が良好に築けている可能性を示します。

開封率(かいふうりつ)

ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた人に対して送るメールマガジン(メルマガ)が、どれくらいの割合で開封されたかを示す数字です。開封率が低い場合、メールの件名や送信のタイミング、またはリスト(特定要素でグループ分けしたリスト)の質に問題がある可能性があります。

クリック率(くりっくりつ)

メルマガの中に記載されたリンク(例えば、別のホワイトペーパーやウェブサイトへのリンク)が、どれくらいの割合でクリックされたかを示す数字です。クリック率が低い場合、メルマガの内容が読者の興味を引いていない、または次の行動への誘導が弱い可能性があります。

配信停止率(はいしんていしりつ)

メルマガの購読を停止した人の割合です。この数字が高い場合、メルマガの内容が読者の期待と異なっている、配信頻度が多すぎる、またはそもそも獲得したリードの属性がメルマガのターゲットとずれているなどの原因が考えられます。また、リード獲得時に「メルマガが送られる」ことを認識していない場合も同じく、お客様からしたら「勝手に送ってくるな」とすぐ配信停止にされてしまいます。

3. 営業成果関連のデータ

ホワイトペーパーが最終的な「売上」にどれだけ貢献しているかを測るために不可欠な指標です。

架電率(かでんりつ)

ダウンロードしてくれた見込み顧客に対して電話をかけた際、どれくらいの割合で相手と話すことができたかを示す数字です。連絡先の情報が正確か、担当者への繋がりやすさなどを測る指標になります。

メール返答率(めーるへんとうりつ)

見込み顧客に送ったメールに対して、どれくらいの割合で返信があったかを示す数字です。メールの内容やオファーの魅力度、またはリードの興味関心度合いを測ることができます。

商談率(しょうだんりつ)

ダウンロードしてくれた見込み顧客のうち、実際に商談(またはアポイント)ができた割合です。この数字は、ホワイトペーパーが興味のあるリードを獲得できているか、そして営業に繋がる質の高いリードであるかを測る上で非常に重要です。

契約率(けいやくりつ)

商談を行った見込み顧客のうち、実際に契約へ至った割合です。ホワイトペーパーから獲得したリードが、最終的にどれだけ売上貢献しているかを示す最終的な指標です。

商談や契約などは、営業側の成績に入るのですが、ホワイトペーパーの貢献度として、リード獲得側のマーケターも一緒に追っていけると、部署間の連携がしやすくなります。

失注率(しっちゅうりつ)

商談には進んだものの、最終的に契約に至らなかった(失注した)割合です。失注率が高い場合、商談の質や営業プロセス、またはそもそもホワイトペーパーで獲得したリードのニーズと自社サービスが合致していない可能性があります。

失注内容が今のタイミングではなかった場合は、改めてナーチャリング対象へと移るため、経緯もきちんと把握しておくのがおすすめです。

リードタイム(りーどたいむ)

ホワイトペーパーをダウンロードしてから、実際に契約に至るまでの期間(日数・時間など)です。この期間が短いほど、より効率的に成果が出ていると言えて、長すぎる場合は途中のナーチャリング(見込み顧客育成)や営業プロセスに、改善の余地があるかもしれません。

4. 費用対効果関連のデータ

ホワイトペーパー作成やプロモーションにかかる費用と、それによって得られる成果を比較するための指標です。

CPA(顧客獲得単価)

1件の顧客(コンバージョン)を獲得するためにかかった広告費です。広告媒体にホワイトペーパーを掲載している場合は、「広告費 ÷ コンバージョン数」で算出します。

リード獲得単価(りーどかくとくたんか)

1件のリード(ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた人)を獲得するためにかかった費用です。例えば、広告を使ってリードを獲得した場合、「広告費用 ÷ 獲得リード数」で算出します。この単価が、設定している予算や目標と見合っているかを確認します。

5. その他の補足データ

ヒートマップ

ウェブページ上でユーザーがどこをクリックしたか、どこまでスクロールしたか、どの部分で滞在時間が長かったかなどを色で可視化してくれるツールです。ホワイトペーパーの紹介ページや、資料自体をウェブ上で公開している場合(資料の埋め込みと計測ツールが必要)、どのスライドが一番見られているか、どの部分がよく読まれているかなどがわかります。これによって、ホワイトペーパーの内容や構成の改善点が見えてくるので、とても重要なデータ。

リード獲得後のアクション速度

ダウンロードしてくれた見込み顧客に対して、どれくらい早く電話やメールといった最初の接触(アクション)ができたか。一般的に、リード獲得後のアクションが早ければ早いほど、その後の商談や契約に繋がりやすい傾向があり、曜日や時間帯によってもその効果は変わることがあります。ただし、単なる情報収集の方もいれば、比較検討に前向きな方などもいるので、同じアクション速度だとしてもリードの状態によって変化があります。

データを組み合わせてお客様の行動を見える化する

それぞれのデータを単独で見ることはもちろん重要ですが、複数のデータを組み合わせることで、お客様の行動の流れやパターンが驚くほど明確に見えてくると、ホワイトペーパーの成果をより深く理解し、改善のヒントを掴むことができます

様々なデータを組み合わせることで、お客様がホワイトペーパーを見つけてから、ダウンロードし、その後、商談や契約に至るまでの一連の行動の流れやパターンを掴むことができます。このお客様の行動に合わせて、ホワイトペーパーの内容や、その後のフォロー(ナーチャリング)、営業プロセスを細かく調整(チューニング)していくことで、ホワイトペーパーによる成果が格段に出しやすくなるのです。

ホワイトペーパーは、単なる資料ではなく、お客様との最初の接点であり、リード獲得の入り口でもあります。

これだけ多くのデータを入手できる貴重なツールであり、マーケティング活動において非常に重要な役割を担っている。

何が良くて悪いのか、代表的なデータの組み合わせ分析例を確認していきましょう。

アクセス数 ⇒ ダウンロード数

ダウンロード数が多い場合

ホワイトペーパーの紹介ページ(ランディングページ)が、ユーザーの興味をうまく引きつけ、スムーズにダウンロードまで導けていると言えます。

ダウンロード数が少ない場合

そもそもアクセス数が少ないのか?アクセス数が少ないなら、ウェブサイト内での導線や、プロモーションの改善が必要です。

アクセス数はあるのにダウンロード数が少ないなら、ページの表示内容がユーザーの期待とズレているか、ホワイトペーパーを手に入れるメリットが十分に伝えられていない可能性もあります。

タイトルや説明文、フォームの入力項目などを見直す、または提供しているホワイトペーパーの本数が、ユーザーのニーズに対してそもそも少ない可能性も考えられます。

ダウンロード数 ⇒ 商談率

商談率が良い場合

ホワイトペーパーを通じて、自社のサービスや製品に強い関心を持つ、質の高い見込み顧客(ターゲットリード)をきちんと獲得できていると言えます。

商談率が悪い場合

ダウンロード数は多いのに商談に繋がらないなら、ターゲットではない層にダウンロードされているか、ホワイトペーパーの内容と実際の商談内容にギャップがある可能性があります。

ダウンロードフォームの項目を見直して、より質の高いリード(例えば、役職や会社の規模など)に絞り込むことも検討しましょう。

「どんな経路でダウンロードしたか」「どんな目的でダウンロードしたか」によって、商談への繋がりやすさが大きく変わることもあります。

例えば、単なる情報収集目的の人と、今すぐ課題解決を求めている人では、その後の行動が異なります。

ダウンロード数 ⇒ リードタイム

ダウンロードしたホワイトペーパーの種類と、契約までの期間を比較することで、どのホワイトペーパーをダウンロードした人が、どのような流れで、どれくらいの期間で契約まで進んでくれるのか、成功パターンが見えてきます。

逆に、特定のホワイトペーパーをダウンロードした人のリードタイムが極端に長い、または途中で離脱が多い場合は、そのホワイトペーパーの内容や、ダウンロード後のフォロープロセスにボトルネック(流れを滞らせる原因)がある可能性が考えられます。

開封率 ⇒ クリック率 ⇒ 商談率

メールマガジン(メルマガ)を使った見込み顧客の引き上げ(ナーチャリング)がうまくいっているかを見るための重要な流れです。

「メルマガを開封し、中のリンクをクリックし、そこから商談に繋がった」と一連の流れが良い場合、メルマガの内容が見込み顧客の興味を惹きつけ、適切な情報を提供することで、商談への意欲を高めることができていると言えます。

特に、クリックしてくれた人へのアプローチは、すでに自社や製品に興味を持っている可能性が高いので、その後の商談に繋がりやすい「質の高い見込み顧客」と考えることができます。

CPA(顧客獲得単価)⇒ ダウンロード率 ⇒ 商談率

広告を使ってホワイトペーパーのダウンロードを促している場合はとても重要です。

「広告費をかけて獲得したリードが、どれだけ効率的に商談や契約に繋がっているか」を把握できます。

ダウンロードがそもそもない、またはCPAが高すぎるのにダウンロードが少ない場合は、広告のキーワードやターゲティング、または広告をクリックした先のホワイトペーパー紹介ページ(ランディングページ)の内容が、ターゲットのニーズとズレている可能性があります。

広告文とランディングページの内容に一貫性があるか、ユーザーが求める情報を提供できているかを見直しましょう。

ヒートマップ ⇒ ページの改善

ホワイトペーパーの紹介ページや、資料自体をウェブ上で公開している場合のヒートマップを見ることで、「ユーザーがどこを見ているか」「どこがクリックされていないか」が視覚的にわかります。

例えば、ダウンロードボタンがほとんどクリックされていないなら、ボタンの配置やデザイン、色など、見た目の改善が必要かもしれません。

資料の内容であれば、「このスライドは飛ばされている」ことがわかれば、内容を修正したり、順番を変えたりするヒントになります。

リード獲得単価 ⇒ 商談数

「1件のリード獲得にかかる費用」と「そのリードから生まれた商談数」を比較することで、広告媒体などを使って獲得したリードが、費用に見合うだけの商談に繋がっているかを確認できます。

CPA(顧客獲得単価)と似ていますが、よりリード獲得の入り口に焦点を当てた指標。

リード属性 ⇒ 開封率

例えば「特定の役職の人からのメール開封率が低い」のであれば、その役職の人が興味を持つようなメール内容に変えたり、送る時間帯を変えたりするなどの対策ができます。

開封率が悪い場合は、そもそもメールを送っているリスト(見込み顧客の連絡先リスト)の質が低く、ターゲットが精査されていない可能性があります。

アクセス元のページ ⇒ ダウンロード数

「どのページからアクセスしてきた人が、どんなホワイトペーパーをダウンロードしているか」を分析することで、ユーザーの潜在的なニーズが見えてきます。

例えば、「特定のブログ記事から来た人は、その記事のテーマと直接関連するホワイトペーパーをダウンロードする傾向がある」とわかれば、その関連性をさらに強化することで、よりダウンロード数を伸ばせる可能性があります。

また、「ウェブサイト全体のテーマに該当する、汎用的なホワイトペーパーが、どんなページから来てもダウンロードされている」のような傾向が見られれば、そのホワイトペーパーが多くのユーザーにとって魅力的であると判断できます。

開封率 ⇒ 配信停止率

メルマガの開封率は良いのに、配信停止率が増えている場合、メルマガの件名で興味を引けたものの、実際に開封した内容が読者の期待と異なっている可能性がありので、内容の見直しが必要です。

あるいは、そもそも獲得したリードの属性が、メルマガのターゲットとずれているために、配信停止が多くなっていることも考えられます。

また、ホワイトペーパーをダウンロードした際に「今後はメルマガが届く」ことを明確に認識していなかったため、配信停止が増えている可能性もあるので、透明性を持って情報を提供することが大切です。

効果測定の目的を明確にする

ホワイトペーパーの効果測定には、大きく分けて2つの考え方があり、あなたのビジネスモデルや、ホワイトペーパーの目的に合わせて、データの見方を変えることが重要です。

単にデータを集めるだけでなく、ホワイトペーパーで何を達成したいのか、目的やあなたのビジネスの状況に応じて、データの見方や重要度を変えていく必要があります。

また、例えば広告媒体を通じてホワイトペーパーを掲載している場合、広告媒体(チャネル)によって獲得できるリードの属性が変わってくることがあり、同じホワイトペーパーでも、A媒体からは質の高いリードが来るが、B媒体からはそうではないなど、媒体による成果の違いが発生するケースも珍しくありません。

そのため、単純にすべてのデータを同じように判断するのではなく、どこから来たリードなのか、解像度を高めた視点も加えて分析することで、より正確な効果測定と改善が可能になります。

考え方① 短期的な成果を重視

項目説明
目的比較的低価格な商品やサービス、または顧客がすぐに意思決定できるようなケースで、ダウンロードから速やかに商談・契約へ繋げることを重視します。
重視するデータダウンロード数そのものよりも、そこからいかに商談に繋がったかを重視します。
リード属性商談に繋がりやすい特定の属性(例:特定の業界、役職、企業規模など)のリードが多く獲得できているかを重点的に見ます。
商談率ダウンロード数に対して商談数が少ない場合は、ターゲットのリードが獲得できていないか、商談への誘導が弱い可能性があります。
架電率、メール返答率ダウンロード後の初期アプローチがどれだけ成功しているか。

たとえダウンロード数が多くても、商談に繋がらなければ意味がありません。そのため、「どのようなリードが商談に繋がりやすいのか」をデータから割り出し、その層に響くホワイトペーパーを作成したり、その層にリーチするための広告運用やプロモーションに力を入れたりするなど、集中的に改善していきます。

考え方② 長期的な成果を重視

項目説明
目的高価格な商品やサービス、または意思決定に時間がかかるようなケースで、ホワイトペーパーをきっかけに顧客との信頼関係を築き、時間をかけて育成(ナーチャリング)することで、将来的な契約へと繋げることを重視します。
重視するデータ商談や契約に至るまでの「過程」の指標を重視します。
リピート興味関心が高まり、複数の情報に触れているか。
開封率
クリック率
配信停止率
メルマガによるナーチャリングがうまく機能しているか。
リードタイム契約に至るまでの期間が適正か、途中でボトルネックはないか。
資料属性どのテーマの資料が、その後のナーチャリングに貢献しているか。

ダウンロード後すぐに商談にならなくても、その後のメルマガ開封やウェブサイト訪問など、見込み顧客の興味・関心が継続しているかを追っていくことが重要です。長期的な視点で関係性を構築し、顧客が購買を検討するタイミングで適切な情報を提供できるよう、ナーチャリング施策とデータ分析を連携させていきます。

ホワイトペーパーの「成果」をどこまで考えるべきか?

ホワイトペーパーの成果をどこまでと捉えるかは、組織内でよく議論になるポイント。

  • リード獲得まで(マーケティング部署の目標とされることが多い)
  • 商談獲得まで
  • 契約獲得まで(最終的な営業成果)

例えば、マーケティング部署だけで見れば「リード獲得数の最大化」を目標にすることもできます。

しかし、その後に営業部署がアプローチしても商談に繋がらない場合、リードの質が低い・ナーチャリングの精度が低いと言われてしまうことも。

これでは、部門間の連携がうまくいかず、会社全体の目標達成に支障を出てしまいます。

結論から言えば、ホワイトペーパーを使う目的は多岐にわたるため、関係者がリード獲得・商談・契約まで、すべての工程を通して数値の変化を把握することが理想的です。

なぜなら、部分的な流れだけを見て対応しても、全体の成果を滞らせてしまう可能性があるから。

ホワイトペーパーは、顧客との最初の接点であり、マーケティングの「入口」となることもあれば、顧客の購買意欲を後押しする「出口」となることもあり、だからこそホワイトペーパーが関係するすべてのポイントにおける成果を把握し、部門間で連携しながら全体を最適化していくことが、最大の成果を出すための鍵となります。

ホワイトペーパーのKPIシミュレーション

ホワイトペーパーで最終的な売上目標を達成するために、それぞれの段階でどれくらいの数値を出す必要があるのかを逆算して考える「KPI(重要業績評価指標)シミュレーション」をご紹介します。

KPIシミュレーションを行うことで、漠然とした目標が具体的な行動計画へと落とし込まれ、ホワイトペーパーの効果測定において「今、何に注力すべきか」が明確になります。

例:売上1,000万円が達成目標

具体例をもとに、最終目標から逆算して、各フェーズで必要な件数を見ていきましょう。

計算式計算例解説
売上目標 ÷ 受注単価
= 受注数
1,000万 ÷ 100万
= 10件
最終的に達成したい売上目標から、1件あたりの平均受注単価で割ることで、何件の契約が必要かがわかります。
受注数 ÷ 案件受注率
= 案件数
10件 ÷ 受注率40%
= 約25件
受注率とは、商談化した案件のうち、どれくらいの割合が契約に至るかを示した数字です。必要な受注数を達成するために、いくつの「契約につながる可能性のある案件」が必要かがわかります。
案件数 ÷ 商談案件率
= 商談数(SQL)
約20件 ÷ 案件率30%
= 約70件
SQL(Sales Qualified Lead)とは、MQLから商談できなリードのこと。商談案件率とは、商談を行った見込み顧客のうち、実際に「案件」として進んだ割合です。必要な案件数を達成するために、いくつの商談が必要かがわかります。
商談数 ÷ MQL引き上げ率
= MQL
約70件 ÷ 30%
= 約230件
MQL(Marketing Qualified Lead)とは、「マーケティング活動によって興味関心が高まったと判断された見込み顧客」のことです。必要なリスト数を獲得するために、どれくらいのMQLが必要かがわかります。
MQL ÷ リード引き上げ率
= リード数
約230件 ÷ 20%
= 約1,150件
目標達成のために、ホワイトペーパーで何件のリード(見込み顧客)を獲得する必要があるかが見えてきます。この「リード」が、ホワイトペーパーのダウンロード数に直結する目標数値となります。

このように、目標売上から逆算することで、「ホワイトペーパーでこれだけのダウンロード数を目標にしよう」と具体的な数字を導き出すことができます。

このシミュレーションはあくまで一例ですが、ご自身のビジネスに当てはめて試してみてください。

シミュレーション上の各数値は一般的なものであり、掲載媒体・資料のテーマ・顧客層などによっても変わるので、自社のマーケティング活動に合わせてチューニングしていきましょう。

一般的なリードの各転換率
リード⇒ MQL = 10~30%
MQL ⇒ SQL = 10~40%
SQL ⇒ 成約 = 20~40%(見込が高いため割合も高くなっていく)

最後に

ホワイトペーパーの効果測定は、単に数字を追うだけの作業ではありません。

それは、過去から学び、現状を理解し、未来の目標達成に向けて着実に進むための道しるべとなります。

専門知識がなくても、今回ご紹介した「過去・現状・未来」の考え方と、各データ項目、そしてデータの組み合わせによる分析を実践することで、ホワイトペーパーの本当の価値を引き出し、ビジネスの成果に直結させることができます。

ぜひ今日から、あなたのホワイトペーパーの効果測定を始めて、その結果をもとに、より多くの見込み顧客との出会いを、そして成功へと繋がる商談を増やしていきましょう。

もし、効果測定についてさらに詳しく知りたい点や、ご自身のホワイトペーパーについて相談したいことがあれば、いつでもお気軽にご質問ください。

商談に繋がるホワイトペーパーの制作代行とは

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資料ダウンロード用ホワイトペーパー作成

著者:エンプレス編集部 sugiyama(運営会社ファングリー
住所:東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル5F
2012年よりwebデザイナーとしてデジタルマーケティングの支援を開始。その後はマッチングプラットフォームの立ち上げ、売上ゼロからグロースに携わり黒字化後に事業譲渡。現在は「エンプレス」にてプロジェクトマネージャーを務め、コンテンツ制作から運用、100社以上のお客様支援を通して得たノウハウもコラムで投稿中。
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