
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。大事なリソースをムダにしないよう、ホワイトペーパーはシンプルに作るのがおすすめ!
マーケティング活動で、ホワイトペーパーを活用していますか?
ビジネスの世界ではよく耳にするけれど、具体的にどんなものか、どう作ればいいのか、よく分からない場合もあるかもしれませんね。
ホワイトペーパーとは、企業が顧客の「お困りごと」を解決するための役立つ情報やノウハウをまとめた資料のこと。
多くの場合、ウェブサイトからダウンロードしてもらう形で提供され、見込み客との関係を築くための大切なツールとして使われています。
そしてホワイトペーパー作りではよく、「シンプルにしよう」と話が出るものの、「シンプル」は奥が深く、人によってバラバラなイメージを持っているため、混乱が起きがち。
ホワイトペーパーにおける「シンプル」さとは、どんなものなのか深掘りしていくので、参考になれば幸いです。
- 目次
- 「シンプル」って、一体なんだろう?
- 「過剰な品質」がホワイトペーパーを台無しにする理由
- シンプルとはお客様が”理解できる”状態のこと
- 足し算ではなく「引き算」と「凝縮」の考え方
- 「シンプル」はホワイトペーパーの目的によって変わる
「シンプル」って、一体なんだろう?
シンプルとは、単純で無駄がないこと。
言葉の意味だけ聞くと、とても簡単で分かりやすいのですが、いざ「シンプルに作ろう!」となれば、途端に難しく感じてしまいますよね。
例えばシンプルについて、こんな発言に心当たりがありませんか?
Aさん:シンプルって、情報量が少ないってことだよね。
Bさん:シンプルって、あまり装飾を入れないってことだよね。
Cさん:シンプルって、余白がたくさんあればいいってことだよね。
Dさん:シンプルって、手抜きしていいってことだよね。
Eさん:シンプルって、深く考えなくていいってことだよね。
どうでしょうか。
人によって「シンプル」のイメージはかなり違うのが分かりますよね。
よく使う言葉なのに、いざその「シンプル」の認識を合わせようとすると、途端に難しくなるのは、本当に不思議なことです。
言葉の意味は簡単なのに、これほどまでに解釈が分かれてしまうのは、一人ひとりの頭の中で「シンプル」の定義が違っているから。
ホワイトペーパーとシンプルの関係
そして、この「シンプル」がホワイトペーパーの世界に入ってくると、さらに話がややこしくなります。
なぜなら、ホワイトペーパーは様々な要素が組み合わさってできていて、それぞれの要素に「シンプルさ」が求められるからです。
ホワイトペーパーを形作る主な要素は、こんなものがあります。
項目 | 説明 |
---|---|
戦略 | 誰に、何を、どう伝えるか根本の考え方 |
企画 | どんなテーマで、どんな内容を盛り込むか |
構成 | 情報をどんな順番で、どう並べるか |
情報 | 実際に書かれる文字やデータ(文章) |
見た目 | 色、フォント、レイアウトなどの視覚的な要素(デザイン) |
これらの要素が複雑に絡み合ってホワイトペーパーは作られるのですが、ここで「落とし穴」にはまってしまうことがよくあるんです。
それが「過剰な品質」です。
「過剰な品質」がホワイトペーパーを台無しにする理由
「過剰な品質」とは、簡単に言うと“やりすぎ”のことです。
文章をあれこれ詰め込みすぎたり、装飾をゴテゴテ加えたり、情報をとにかく詰め込みすぎて、必要以上に時間をかけてしまう状態を指します。
なぜこんなことが起きてしまうのか。
それは、ホワイトペーパーを作る人(制作会社に依頼している場合は、その依頼主であるあなた自身)が、「これで本当に大丈夫かな…」「ちゃんと目的が達成できるかな…」と感じる不安な気持ちから、あれこれ要素を「足し算」しようとしてしまうからなんです。
「お客様に伝えたいことがたくさんあるから、情報をどんどん追加しよう!」
「お客様に良い印象を与えたいから、デザインを凝って見栄えは良くしよう!」
「自社の商品を何とか売り込みたいから、アピールポイントを全部盛り込もう!」
(これは全部、企業目線の発想ですよね…)
このように、どんどん「足し算」の発想でホワイトペーパーを形にしていきます。
しかし、本当にこれで良いのでしょうか?
お客様は、本当にそこまで求めているのでしょうか?
ここを考える上で、ホワイトペーパーにおける絶対に押さえておくべき3つの基本原則があります。
お客様が求めている3つの基本原則
ホワイトペーパーは、あくまで「お客様」のために用意するものです。
お客様があなたのホワイトペーパーを手にしたとき、どんな気持ちで、どんな状況で読もうとするのか。
ここを想像することが、シンプルで本当に役立つホワイトペーパーを作るための第一歩となります。
ほとんどの場合、お客様はこんな状況でホワイトペーパーをダウンロードしています。
- 日々の業務に追われていて時間がたっぷりあるわけではない
- 自分の抱えている課題を解決できる「答え」をできるだけ早く見つけたい
- パッと見て自分に必要な情報だけを手早く知りたい
私たち自身もそうですよね。
もし自分が気になったホワイトペーパーをダウンロードしたとして、一言一句、隅々までじっくり読み込むでしょうか?おそらく、そうではないはずです。
まずはざっと目を通してみて、「見にくい」「読みにくい」「理解しづらい」と感じたら、途中で読むのも止めてしまう。
お客様の立場から見れば、このように「サッと見て、パッと理解したい」状態なのに、いざ自分がホワイトペーパーを作る「提供側」に回った途端、この大切な視点を忘れてしまいがちです。
だからこそ、まず考えるべきは、ホワイトペーパーを手に取ってくださったお客様がどう感じるか。
ここをクリアできなければ、せっかく素晴らしい商品やサービスがあっても、お客様にその魅力が伝わる段階まで進むことはできません。
このお客様視点で考えると、ホワイトペーパーには、最低限クリアすべき3つの基本原則があります。
どれか一つでも欠けてしまうと、ホワイトペーパーは「お客様にとって不適切なもの」になってしまい、マイナスの印象を与えてしまう可能性が高いのです。
原則① デザインが見づらいとそもそも情報が頭に入ってこない
文字が小さすぎる、色がチカチカする、レイアウトがごちゃごちゃしている…これでは、どんなに良い内容でも読む気が失せてしまいます。
原則② 文章の表現が整ってないと読むのがしんどい
話があちこちに飛ぶ、専門用語ばかりで解説がない、一つの文章が長すぎる…これでは、読むこと自体が苦痛になり、内容が頭に入ってきません。
原則③ 内容がしっかり組み立てられていないと理解しづらい
結論が分からない、話の筋道が見えない、説明があいまい…これでは、結局何を伝えたかったのかが分からず、混乱してしまいます。
シンプルとはお客様が”理解できる”状態のこと
では、ホワイトペーパーにおける「シンプルさ」とは、具体的に何を指すのでしょうか?
それは、お客様がストレスなく、内容を「理解できる」状態を指します。
つまり、ホワイトペーパーが「シンプル」であるとは、以下の状態を体現していると言えます。
- お客様の忙しい状況だからこそ「見やすい」こと
- 情報が整理されていて視覚的に分かりやすいレイアウトであること
- お客様の求める情報へたどり着くために「読みやすい」こと
- 文章が分かりやすくスムーズに読める表現であること
- お客様の課題解決に役立つために「理解しやすい」こと
- 内容が論理的に構成されてきちんと納得できること
これらをクリアして初めて、お客様はあなたの伝えたい製品やサービスに興味を持ち、「もっと詳しく知りたい」段階に進んでくれるのです。
過剰なデザインや情報量は、お客様が情報を手に入れたり、内容を理解したりするのを邪魔してしまう可能性が高いことを忘れてはいけません。
だからこそ、ホワイトペーパーは「シンプル」が良い、と言えるのです。
足し算ではなく「引き算」と「凝縮」の考え方
多くの場合、ホワイトペーパーは「あれも伝えたい」「これも盛り込みたい」と、ついつい情報を「足し算」してしまいがちです。
しかし、お客様へ本当に届くホワイトペーパーを作るには、「足し算」の発想から抜け出し、「引き算」と「凝縮」の考え方を持つことが非常に重要です。
「引き算」とは、単に情報を減らすことだけではありません。
不要な情報や装飾をそぎ落とすのはもちろんですが、さらに一歩進んで、複数の要素を一つに「凝縮」して、より本質的で分かりやすい形にまとめる視点を持つこと。
それでは「引き算」と「凝縮」の考え方を見ていきましょう。
引き算の考え方
考え方① 冗長な文章を「短い言葉と図」に凝縮する
長々と説明していた内容を、要点を絞った短い文章と、それを補完するイラストやグラフに置き換えます。例えば、複雑な業務フローを箇条書きで何行も説明するのではなく、シンプルな流れ図一枚で表現するイメージです。視覚的に情報をまとめることで、お客様はパッと見て全体像を把握しやすくなります。
考え方② 多数のデータは「結論を示すグラフ」に凝縮する
たくさんの数字やデータを見せるのではなく、お客様が知りたい「結論」が端的にわかるようなグラフや表にまとめることです。「あれこれ並べられたデータ」ではなく、「あなたの課題解決につながる数字」として提示することが大切です。
考え方③ 複数のアピールポイントを「お客様のメリット」に凝縮する
自社の強みを羅列するのではなく、それがお客様にとってどんな「良いこと」があるのかでまとめます。例えば、「当社の製品はA機能とB機能とC機能があり…」と説明する代わりに、「当社の製品は、あなたの〇〇という課題を解決し、□□のようなメリットをもたらします」と、顧客視点での価値に焦点を当てて凝縮するのです。
考え方④ 専門用語を「平易な言葉と具体例」に凝縮する
難しい専門用語をそのまま使うのではなく、日常会話で使うような分かりやすい言葉に置き換えたり、身近な例え話を使って説明したりすることで、スッと頭に入るようになります。(それは、お客様は専門家ではないから。)
引き算は凝縮で考える
「凝縮」の引き算は、単に情報を減らすことではなく、情報の質を高め「いかに少なく見せて、いかに多くを伝えるか」、この視点を持つことにつながります。
お客様は、デザインのインパクトや情報の多さを求めているのではなく、自分が抱えている問題に対する「解決策」や「役立つ情報」を求めています。
そして、その情報があったとしても、それが理解できなければ意味がなく、何よりも大切なのは理解できるかどうか。
ホワイトペーパーの内容に興味を持ってもらい、その内容をきちんと理解してもらうことが、ホワイトペーパーとして最低限の達成すべきことであり、情報をあれこれ詰め込みすぎると、かえって理解を妨げてしまいます。
情報過多は逆効果
例えば、一つのホワイトペーパーで複数のテーマを扱おうとすると、情報が散漫になり、結局何も伝わらない現象が起きやすくなる。
だからこそ、まずはテーマを絞り込み、伝えるべきことを明確にするのがおすすめです。
テーマを狭め、一点集中で伝えることを考えれば、自然と情報量が最適化され、無駄なく必要なことだけを伝えられるようになります。
この「お客様が理解できる」最低限のラインを整えるよりも前に、「このデザインはどうだ」「あの色はどうだ」と、見た目ばかりを議論するのは、あまり意味がなく、だからこそホワイトペーパーはシンプルであるべきなのです。
「シンプル」はホワイトペーパーの目的によって変わる
「シンプル」の重要性をお話ししてきましたが、実はホワイトペーパーの活用目的によって、「シンプル」の考え方も少しだけ変わってくることは知っておく必要があります。
例えば、まだお客様があなたの会社や製品についてほとんど知らない段階、いわゆる「リード獲得」や「ナーチャリング(顧客育成)」などマーケティング活動の初期フェーズで使うホワイトペーパーであれば、とことんシンプルなことを意識する必要があります。
この段階のお客様は、情報そのものに興味があるだけで、高いデザイン性や企業のブランドイメージを強く求めているわけではなく、それよりも中身が最も重要になるため、「分かりやすさ」と「情報がスムーズに頭に入るか」が最優先。
一方、商談や契約の直前など、お客様がすでにあなたの会社や製品に強い関心を持っていて、最終的な判断材料としてホワイトペーパーを求めている最終フェーズの場合は、情報はもちろん大切ですが、情報を提供している企業側の「ブランドへの意識」も高まっているタイミングです。
お客様は「この会社なら信頼できる」「プロの仕事だな」と好印象を、意思決定のためにホワイトペーパーからも感じ取りたいと思っているため、情報が理解できる状態であることは大前提として、さらにデザイン的な「良さ」や「洗練された雰囲気」を少し引き上げることも求められます。
もちろん、どのフェーズでも「シンプル=お客様が理解できる状態」であることは変わりません。
しかし、その「理解できる状態」を表現するために、どこまでデザインや情報を見せるのかバランスが変わってくるのです。
あなたのホワイトペーパーが、どんな目的で、どんなお客様に届いてほしいのか。
それを常に意識しながら「シンプルさ」を追求することが、本当に成果につながるホワイトペーパーを作る秘訣になります。
制作するうえでスキル・ノウハウ・データなどが足りずにお困りの場合は、私たちが制作から改善支援までワンストップでご案内できるので、ぜひご相談頂けますと幸いです。